「最近、なんだか疲れやすい」「運動しなきゃと思っても続かない」「ストレスが抜けない」
そんな悩みを抱えている方は少なくありません。忙しい毎日の中で、自分の健康のことはつい後回しになりがちです。
実は今、音楽と健康の関係がさまざまな研究で注目されているのをご存じでしょうか。特別な器具や高価なサプリを使わなくても、「音楽を聴くこと」「音楽に合わせて体を動かすこと」だけで、心や体に良い影響が期待できることがわかってきています。
この記事では、学術的なエビデンスをもとに、音楽が健康にどのように関わっているのかを、誰にでもわかりやすく、生活に取り入れやすい視点でご紹介します。

音楽を「聴く」だけで体に起こる変化
まず注目したいのが、「音楽を聴くこと」と健康の関係です。
近年の研究では、音楽を聴く行為そのものが、脳や自律神経に影響を与えることが報告されています。
● ストレス軽減との関係
複数の研究で、心地よい音楽を聴くことでストレス指標とされるホルモン(コルチゾールなど)が低下する傾向が示されています。特にテンポが穏やかな音楽や、本人が「好き」と感じる音楽は、リラックス反応を引き出しやすいとされています。
これは、音楽が脳の感情に関わる部位を刺激し、副交感神経が優位になりやすくなるためと考えられています。忙しい家事の合間や、寝る前に音楽を聴くだけでも、気持ちが落ち着くと感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。
● 睡眠の質への影響
音楽と健康の研究では、就寝前に音楽を聴く習慣が睡眠の満足感に関連する可能性も示唆されています。音楽を聴くことで入眠前の緊張が和らぎ、リラックスした状態に切り替えやすくなると考えられています。
もちろん音楽が病気を治すわけではありませんが、日常生活のコンディションを整えるサポートとして、音楽が役立つ可能性がある点は注目されています。
音楽に合わせて体を動かすと、なぜ健康によいのか
次に注目したいのが、音楽に合わせて体を動かすことと健康の関係です。
「運動は苦手だけど、音楽が流れると自然に体が動く」という経験はありませんか?
● 続けやすさという大きなメリット
運動習慣が健康に良いことは広く知られていますが、問題は「続かない」こと。そこで音楽の出番です。
研究では、音楽を聴きながら体を動かすことで、運動の負担感が軽く感じられ、楽しさが増す傾向があることが報告されています。テンポのある音楽はリズム運動を助け、自然と動きをスムーズにしてくれます。
その結果、「運動している」という意識が薄れ、日常的な活動として取り入れやすくなるのです。
● エネルギー消費との関係
音楽に合わせて体を動かすこと自体が、日常生活における身体活動量を増やす一因になる可能性があります。激しい運動でなくても、リズムに合わせた軽い動きやダンス、体操などは、座りっぱなしの時間を減らす助けになります。
あくまで補助的な要素ではありますが、「動かないより、少しでも動く」ことが健康維持に大切である点は、多くの研究で共通しています。
音楽と健康が注目される理由
音楽と健康の関係が注目される理由の一つは、「誰でも・今すぐ・特別な準備なしで始められる」ことです。
- 年齢や体力に関係なく取り入れやすい
- 自宅でできる
- コストがほとんどかからない
- 好きなジャンルを選べる
この手軽さは、忙しい主婦層にとって大きな魅力です。
家事をしながら音楽を流す、掃除のときにリズムよく体を動かす、テレビの前で軽く体操する──そんな小さな行動が、積み重なって日常の質を底上げしてくれます。
健康のために音楽を取り入れるときのポイント
音楽を健康的に活用するためには、いくつかのポイントがあります。
● 「好きな音楽」を選ぶ
研究でも、本人が好む音楽のほうが心理的な満足度が高いことが示されています。無理に流行やジャンルにこだわる必要はありません。
● 無理のない動きを意識する
音楽に合わせて体を動かすときは、疲れを感じない範囲で十分です。痛みや違和感がある場合は控えましょう。
● 健康習慣の「補助」として考える
音楽は医薬品や治療の代わりではありません。あくまで生活習慣を心地よく整えるためのサポートとして取り入れることが大切です。
まとめ:音楽は毎日の健康をやさしく支える存在
音楽と健康の関係は、近年ますます研究が進み、
「聴くこと」「音楽に合わせて体を動かすこと」が、心身のコンディションに良い影響を与える可能性が示されています。
- ストレスを和らげるきっかけになる
- リラックスや気分転換につながる
- 体を動かす習慣を続けやすくする
- 日常生活に無理なく取り入れられる
劇的な変化を期待するものではありませんが、毎日の中に音楽を取り入れることで、「なんとなく調子がいい」と感じられる時間が増えるかもしれません。
今日からできる健康習慣として、ぜひあなたの生活にも音楽を取り入れてみてください。
ピコポッコのワークショップのご紹介

歌って、リズムに合わせて、少し体を動かす。
それだけで、場の空気がふっと明るくなることがあります。
ピコポッコのワークショップは、
音楽に合わせて無理なく体を動かせる、やさしい内容が特長です。
機材はすべて持ち込み、準備の負担も最小限。
レクリエーションやイベントの一つとして、ぜひご活用ください。
参考文献
- Chanda, M. L., & Levitin, D. J. (2013).
The neurochemistry of music.
Trends in Cognitive Sciences, 17(4), 179–193. - Thoma, M. V., La Marca, R., Brönnimann, R., Finkel, L., Ehlert, U., & Nater, U. M. (2013).
The effect of music on the human stress response.
PLOS ONE, 8(8), e70156. - Bernardi, L., Porta, C., & Sleight, P. (2006).
Cardiovascular, cerebrovascular, and respiratory changes induced by different types of music in musicians and non-musicians.
Heart, 92(4), 445–452. - Koelsch, S. (2014).
Brain correlates of music-evoked emotions.
Nature Reviews Neuroscience, 15(3), 170–180. - Altenmüller, E., Schlaug, G. (2015).
Apollo’s gift: New aspects of neurologic music therapy.
Progress in Brain Research, 217, 237–252. - Terry, P. C., Karageorghis, C. I., Curran, M. L., Martin, O. V., & Parsons-Smith, R. L. (2020).
Effects of music in exercise and sport: A meta-analytic review.
Psychological Bulletin, 146(2), 91–117. - Karageorghis, C. I., & Priest, D. L. (2012).
Music in the exercise domain: A review and synthesis.
International Review of Sport and Exercise Psychology, 5(1), 44–66. - World Health Organization. (2019).
What is the evidence on the role of the arts in improving health and well-being?
WHO Regional Office for Europe. - 日本音楽療法学会 編 (2019).
『音楽療法の基礎と実践』
音楽之友社. - 厚生労働省 (2020).
『健康づくりのための身体活動基準・指針』
厚生労働省.

