
こんにちは!リュウタロウ先生です。
作曲家と教職の目線でさまざまなアーティストの楽曲分析をしています。
最近、「XG(エックスジー)」が気になっている方、とても多いのではないでしょうか?
何を隠そうXGの大ファン(ALPHAZ)でもあります!
「XG、気になるけどどの曲から聴けばいいの?」
そんなALPHAZ入門者の皆さんのために、この記事では「音楽のプロ」であり「一人のファン」でもある私の視点から、XGの魅力を最大限に理解できる「おすすめ曲4選」をご紹介します。
彼女たちの楽曲は、正直言って名曲しかありません。その中から4曲に絞るのは本当に苦しかったですが、この記事で少しでもXGのファンを増やしたい! そんな思いで書きました。
XGとは? なぜ今、彼女たちが世界を驚かせているのか
まずは簡単におさらいです。XGは、JURIN、CHISA、HINATA、HARVEY、JURIA、MAYA、COCONAからなる7人組ガールズグループです。
「XGALX(エックスギャラックス)」というグローバル・エンターテインメント・プロダクションに所属し、「BOLD(大胆)」なカルチャーを世界に発信するという理念のもと活動しています。
彼女たちの最大の魅力は、全員日本人でありながら、特定の国や言語に縛られない「グローバルスタンダード」な音楽性とパフォーマンス。その圧巻のスキルと完成度が、世界中の音楽ファンを驚かせているんですよね。
私が推奨!XG入門者が聴くべき曲4選
さて、ここからが本題です。XGは音楽性の幅が非常に広いため、聴く順番はとても重要です。
そこで、作曲家としての視点から「XGの多面的な魅力を最も深く理解できる」と私が考える、以下の4曲をおすすめします。
1. SHOOTING STAR
XGの名前を世界に知らしめた、まさに「名刺代わり」の一曲。私がこの曲を最初におすすめする理由は、XGの二大武器である「ハイレベルなラップ」と「美しいボーカル」が、最も絶妙なバランスで楽しめるからです。
幻想的なサウンドの中で繰り出されるラップと歌声に、「これが日本のグループ?」と度肝を抜かれた方も多いはずです。
ワンポイント解説!
聴きどころ:「行儀良くない」ラップのカッコよさ
音楽経験がない方でも、この曲のラップパートを聴いて「なんだかバチバチでカッコいい」と感じませんか? 実は、そこには緻密な音楽的テクニックが隠されています。
少し専門的な話をすると、この曲のキー(曲全体の音の高さの基準)は「D」です。普通、このキーでメロディアスなラップ(歌うようなラップ)を作る場合、「D」や「A」という「安定した音」を使うと、聴きやすく「行儀の良い」=優等生な感じに仕上がります。
ところが、「SHOOTING STAR」では、あえて「E」や「F#」といった、そのキーの中では少し「濁る」音を多用しているんです。
例えるなら、きれいに整えられた絵画に、あえて少しだけ絵の具をはみ出させて飛び散らせるようなもの。この「適度な濁り」が、優等生すぎるまとめ方を避け、「バチバチにラップかましてる」という攻撃的でクールな印象を生み出していると、私は分析しています。
まずはこの曲で、「XGは、とんでもないスキルを持ったグループなんだ」ということを全身で感じてください!
2. IS THIS LOVE
「スキルも心地よさも知った上で、『こんなにキャッチーな曲もできるんだ!』と驚いてほしいですね」
3曲目は、CMソングにも起用された「IS THIS LOVE」です。これは、XGの楽曲の中でも特に「キャッチー」で「親しみやすい」一曲。ラップもありますが、どちらかといえばボーカルがメインです。
曲の最後、メンバーのMAYAさんを中心とした一糸乱れぬダンスパート(通称:スーパーマヤタイム)も必見ですよ!
ワンポイント解説!
聴きどころ:「王道」のコード進行が作る安心感
この曲がなぜこんなに「聴きやすく」「キャッチー」なのか。それは、使われているコード進行(伴奏の流れ)が非常にシンプルだからです。
具体的には、「A♭」「Cm」「B♭」という、たった3種類(曲のほとんどは前の2つだけ)のコードだけで構成されています。
これは、J-POPや世界中のヒットソングで多用される「誰もが聴いて安心する、王道のパターン」(456進行)です。
実力派のアーティストは時として「近寄りがたい」と思われがちですが、この曲を聴くことで、「あ、XGは怖い人たちじゃないんだ」と、一気に距離が縮まるはず。それが私の狙いです(笑)。
3. HOWLING
3曲目は、彼女たちのコンセプトである「狼」が全面に出た「HOWLING」です。 ここまでの2曲でXGを身近に感じたら、次は少しディープな「音楽の仕掛け」に触れてみましょう。
ワンポイント解説!
聴きどころ:抑圧からの解放
この曲には「重苦しい雰囲気」から「一気に視界が開ける」ような魔法がかかっています。
ラップパートでは、「フリジアンスケール」という、ちょっと重苦しい響きが使われています。ところが、サビの直前(プレコーラス)でその重苦しさを作っていた音(D)が一度姿を消します。
そして、サビのド頭「アウー」という咆哮の瞬間に、それまでの重苦しさを吹き飛ばす「解放された音(D#)」がパーンと鳴り響くんです!この「緊張と解放」の設計が素晴らしいです。
また、コレオも最高…。最後に見せる彼女たちの決めポーズを見れば、もうXGから目が離せなくなるはずです。
4. WOKE UP
最後におすすめするのは、XGのキャリアでも最も挑戦的と言える「WOKE UP」です。この曲、なんとCHISAさんの8小節を除き、メロディがありません。全編ラップです。
初めて聴くと、その強烈なサウンドに「ちょっと聴きづらいかも…」と思うかもしれません。でも、ちょっと待ってください! この曲にこそ、XGの「精神性」と「覚悟」が詰まっているんです。
ワンポイント解説!
聴きどころ:「東アジア」のアイデンティティ
この曲のサウンドを特徴づけているのは、曲全体を貫く不穏なベースラインと、日本の尺八や琴を思わせる「東アジア的(オリエンタル)」な音階です。
これは、彼女たちが「欧米のヒップホップのモノマネ」をしているのではない、という強い意志表示に他なりません。
歌詞にも、メンバーのJURIN(ジュリン)さんのパートに「Tokyo」という言葉がはっきりと入っています。
「私たちは日本人であり、東アジアのアイデンティティを持った上で、XGとして世界の音楽シーンに挑戦する」
そんな彼女たちの揺るぎない覚悟が、このサウンドと激しいラップに込められています。メンバー全員のスキルが爆発しており、一人ひとりの個性的なラップスタイルがぶつかり合う、まさに「推しが見つかる」一曲。
(ちなみに私は、この曲のHINATAさんの「表情管理」と、激しいラップの中でフック(サビ)だけを置いて去っていく姿に完全に魅了されました。HINATAさんカラーの腕時計まで買ってしまったほどです…!)
正直、私は「WOKE UP」を好きになってからXG好きを名乗ってほしい、とさえ思っています。ぜひ、彼女たちの本質に触れてみてください。
XGを聴いて
いかがだったでしょうか? XGは、単なるビジュアル先行のグループではなく、深い音楽的背景と強烈なアイデンティティを持った素晴らしいアーティストです。
今回紹介した4曲で、XGの多面的な魅力を深く、順番に理解できるはずです。
ぜひこの順番でXGの楽曲を体験し、あなたの「推し曲」そして「推しメンバー」を見つけてみてください。彼女たちの音楽の沼は、一度ハマると抜け出せないほど深いですよ!
以上、リュウタロウ先生でした!

